飲食店経営では、売上が上がっているのに利益が残らないことがあります。原因は、原価、人件費、家賃、ロス、客単価などの数字を分けて見られていないことです。感覚だけで判断すると、忙しいのに赤字という状態に気づきにくくなります。
この記事では、飲食店の経営者や店長が最低限見ておきたい数字を、実務で使いやすい順番で解説します。難しい会計用語よりも、毎月の運営判断に使える見方を中心にまとめます。

この記事でわかること
飲食店経営で数字を見る理由
飲食店の数字は、過去の結果を見るためだけのものではありません。仕入れを増やすか、メニュー価格を見直すか、人件費を調整するかを考えるための判断材料です。
たとえば売上が伸びていても、食材の仕入れ単価が上がり、スタッフの勤務時間も増えていれば、利益は思ったほど残りません。経営では、売上だけでなく、売上から何が差し引かれているかを把握することが重要です。
飲食店経営では、売上の大きさよりも、最終的にいくら利益が残るかを見ることが大切です。
まず見るべき売上と利益の数字
最初に確認したいのは、売上高、客数、客単価、営業利益です。売上高だけを見ると好調に見えても、客単価が下がっていたり、販促で値引きが増えていたりする場合があります。
売上高 = 客数 × 客単価
売上を上げる方法は、大きく分けると客数を増やすか、客単価を上げるかです。さらに営業日数や営業時間も関係します。どの数字が変わったのかを分けて見ると、原因を見つけやすくなります。
| 数字 | 見る目的 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 売上高 | 店舗全体の規模を見る | 前年同月や前月と比べる |
| 客数 | 集客状況を見る | 曜日別、時間帯別で確認する |
| 客単価 | 注文内容を見る | セット販売や追加注文を確認する |
| 営業利益 | 本業の利益を見る | 原価や人件費を引いた後を見る |
原価率とFL比率の見方
飲食店で特に重要なのが、原価率とFL比率です。原価率は、売上に対して食材原価がどれくらいかを示す数字です。FL比率は、食材費と人件費を合わせた割合を示します。
原価率 = 食材原価 ÷ 売上高 × 100
FL比率 = 原価率 + 人件費率
原価率の目安は業態によって異なります。一般的には30%前後が参考にされることがありますが、居酒屋、カフェ、専門店、高単価業態では適正な割合が変わります。数字だけで良し悪しを決めず、粗利額も一緒に見ることが大切です。

たとえば原価率が低いメニューでも、売価が安く粗利額が小さいなら利益貢献は弱い場合があります。反対に原価率が高くても、客単価を上げる看板メニューなら必要な商品かもしれません。
固定費と損益分岐点を確認する
固定費とは、売上の増減に関係なく毎月発生しやすい費用です。家賃、リース費、通信費、社員人件費などが代表例です。変動費は、食材費、アルバイト人件費、水道光熱費の一部など、売上に応じて変わりやすい費用です。
固定費が高い店舗では、一定以上の売上を作らないと利益が残りません。そのため、損益分岐点を把握しておくと、最低限必要な売上目標を考えやすくなります。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
正確な計算には費用の分類が必要ですが、まずは家賃、人件費、原価、その他経費を一覧で整理するだけでも、店の状態が見えやすくなります。
数字を管理するときの注意点
数字管理でよくある失敗は、月末だけまとめて確認することです。月末に赤字が分かっても、その月の仕入れやシフトはすでに終わっています。できれば週次や日次で、売上、仕入れ、人件費、ロスを確認しましょう。
- 売上は日別、曜日別、時間帯別で見る
- 原価は仕入れ額だけでなく使用量も見る
- 人件費は売上に対する割合で見る
- 廃棄ロスやサービス品を記録する
- 仕入れ価格の変更日を残す
特に大切なのは、仕入れ価格の変更日を残すことです。食材単価が上がったのに古い単価のまま計算すると、メニューごとの原価率が実態とずれてしまいます。過去データを残しておくことで、月別の悪化原因も確認しやすくなります。
手作業やExcel管理の限界
メニュー数や食材数が少ないうちは、Excelでも管理できます。ただし、仕入れ単価、レシピ、売上、棚卸、ロス、人件費を毎月更新する場合、手作業では入力ミスや更新漏れが起こりやすくなります。
また、過去の単価を上書きしてしまうと、前月以前の原価率まで変わってしまうことがあります。経営判断に使う数字は、後から見ても同じ結果になるように残すことが重要です。
数字を残す目的は、きれいな表を作ることではなく、次の判断を早く正確にすることです。
原価管理システムを使うメリット
原価管理システムを使うと、材料マスタ、メニュー原価、原価率、月別推移などをまとめて管理しやすくなります。毎回計算式を直す必要が減り、店長やスタッフも同じ数字を見ながら改善を進めやすくなります。
たとえば、仕入れ価格が上がった食材を確認し、影響を受けるメニューを見つけることができます。売価を変えるべき商品、ポーションを見直す商品、販売を強化する商品を分けて考えやすくなります。
COST PANDAは、飲食店の原価管理をかんたんに始められる原価計算システムです。
材料マスタ、メニュー登録、原価率計算、年間損益管理、ダッシュボードでのグラフ確認など、飲食店に必要な原価管理をシンプルにまとめています。
まとめ
飲食店経営で見るべき数字は、売上だけではありません。客数、客単価、原価率、FL比率、固定費、営業利益を組み合わせて見ることで、利益が残る理由と残らない理由を判断しやすくなります。
最初から完璧な損益計算書を作る必要はありません。まずは毎月同じ項目を記録し、前月や前年と比べることから始めましょう。数字を見える化することで、値上げ、仕入れ、人件費、メニュー改善の判断がしやすくなります。
※この記事内の数値例は、原価計算の考え方を説明するためのサンプルです。実際の原価率や適正価格は、業態、仕入れ条件、地域、メニュー構成によって異なります。
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