飲食店で利益を残すためには、売上だけでなく、メニューごとの原価を把握することが欠かせません。同じように売れているメニューでも、食材費が高すぎるものと、しっかり粗利が残るものでは、店舗全体の利益に大きな差が出ます。
特に、開業時や新メニューを作るときは、感覚だけで価格を決めてしまうと、売れているのに利益が残らないメニューになることがあります。1品に使う食材の量と仕入れ単価をもとに原価を出し、原価率と粗利額を確認することが大切です。

この記事でわかること
飲食店メニューの原価計算とは
飲食店メニューの原価計算とは、1品の料理やドリンクを提供するために、どれくらいの食材費がかかっているかを計算することです。たとえば、900円で販売している定食に、米、肉、野菜、調味料、付け合わせなどを合計して315円分使っている場合、そのメニューの原価は315円です。
この原価をもとに、販売価格に対する原価率や、1品売れたときに残る粗利額を確認します。メニュー原価を把握していないと、売れているのに利益が残らない、値上げが必要なメニューに気づけないといった問題が起こりやすくなります。
メニュー原価 = 食材ごとの使用量 × 食材ごとの単価 の合計
メニューごとの原価計算は、飲食店の利益を守るための基本作業です。
メニュー原価計算に必要な項目
メニューごとの原価を計算するには、材料名、仕入れ単価、内容量、1gあたりの単価、使用量、販売価格を整理します。仕入れ価格をそのまま使うのではなく、実際に料理で使う単位に分けることが重要です。
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 材料名 | メニューに使う食材 | 米、鶏肉、玉ねぎ |
| 仕入れ価格 | 仕入れ時の金額 | 米5kg 2000円 |
| 内容量 | 仕入れた商品の量 | 5000g |
| 1g単価 | 1gあたりの金額 | 0.4円 |
| 使用量 | 1食に使う量 | 米100g |
| 販売価格 | お客様に販売する価格 | 900円 |
たとえば、2000円で仕入れた米が5kg入りなら、2000円 ÷ 5000g で1gあたり0.4円です。そこから1食に使う量をかけることで、メニューごとの正確な原価が出せます。
メニューごとの原価計算方法
メニュー原価は、使う食材をすべて書き出し、各食材の仕入れ価格と内容量を確認してから計算します。1g単価、1ml単価、1個単価を出し、1食あたりの使用量を掛け合わせて合計します。
- メニューに使う食材をすべて書き出す
- 各食材の仕入れ価格と内容量を確認する
- 1g単価や1個単価を出す
- 1食あたりの使用量を入力する
- すべての食材原価を合計する
- 販売価格から原価率と粗利額を出す
食材ごとの原価 = 1単位あたりの単価 × 1食あたりの使用量
たとえば、鶏肉を1kg1200円で仕入れて、1食に120g使う場合、1g単価は1.2円です。1食あたりの鶏肉原価は、1.2円 × 120g で144円です。
カレーライスを例にした原価計算
ここでは、カレーライスを例にして、メニュー原価を計算してみます。食材ごとの1g単価と使用量を分けると、1食あたりの原価が見えやすくなります。
| 材料 | 1g単価 | 使用量 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 米 | 0.4円 | 100g | 40円 |
| 鶏肉 | 1.2円 | 100g | 120円 |
| 玉ねぎ | 0.3円 | 80g | 24円 |
| にんじん | 0.35円 | 40g | 14円 |
| じゃがいも | 0.28円 | 60g | 17円 |
| カレールーなど | 一式 | 1食分 | 55円 |
| 合計 | ー | ー | 300円 |
この場合、カレーライス1食あたりのメニュー原価は300円です。販売価格を900円に設定している場合、原価率は次のようになります。
原価率 = 300円 ÷ 900円 × 100 = 33.3%
原価率と粗利額の計算方法
メニュー原価を出したら、次に原価率と粗利額を確認します。原価率は、販売価格に対して原価がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。
原価率 = メニュー原価 ÷ 販売価格 × 100
粗利額 = 販売価格 − メニュー原価
たとえば、メニュー原価300円、販売価格900円の場合は、原価率33.3%、粗利額600円です。販売価格を変えた場合、原価率と粗利額は次のように変わります。
| 販売価格 | メニュー原価 | 原価率 | 粗利額 |
|---|---|---|---|
| 900円 | 300円 | 33.3% | 600円 |
| 1000円 | 300円 | 30.0% | 700円 |
| 1100円 | 300円 | 27.3% | 800円 |
ここで大切なのは、原価率だけでなく粗利額も見ることです。原価率が低いメニューでも、販売価格が低すぎると粗利額は少なくなります。
メニュー価格を決めるときの考え方
飲食店メニューの価格を決めるときは、原価率だけで決めるのではなく、粗利額、客単価、注文数、業態、競合価格、ブランド価値を合わせて考える必要があります。一般的に原価率30%前後が目安とされることがありますが、すべてのメニューを30%にそろえる必要はありません。
看板メニューは集客目的で原価率がやや高くてもよい場合があります。定番メニューは安定して利益を出す中心商品として考え、サイドメニューやドリンクは注文点数や客単価を上げる役割を持たせます。
メニュー価格は、原価率30%に合わせるだけでなく、店舗全体で利益が残るかで判断しましょう。
原価計算でよくある失敗
メニュー原価計算では、計算そのものよりも、入力漏れや管理基準のズレによって数字が合わなくなることがあります。主材料だけを計算し、調味料、ソース、薬味、付け合わせを入れていないケースはよくあります。
- 調味料や付け合わせを入れていない
- 歩留まりを考慮していない
- 仕入れ価格の変更を反映していない
- スタッフによって使用量が違う
- 包材費を見落としている
テイクアウトやデリバリーでは、容器、袋、箸、おしぼり、シールなどの包材費も利益に影響します。食材費とは分けて管理してもよいですが、販売価格を決めるときには必ず考慮しましょう。

メニュー原価計算を効率化する方法
メニュー数が少ないうちは、スプレッドシートでも原価計算できます。しかし、メニュー数が増えたり、仕入れ単価が変わったり、販売期間があるメニューを管理したりすると、手作業ではミスが起こりやすくなります。
原価管理システムを使うと、材料マスタ、仕入れ単価、メニュー別原価、原価率、粗利額をまとめて管理できます。仕入れ単価が変わったときにメニュー原価を見直せる仕組みがあると、価格改定の判断がしやすくなります。
COST PANDAは、飲食店向けの原価管理システムです。材料マスタ、メニュー別原価、原価率、粗利額、FL比率、年間損益をまとめて確認できます。
まずは主力メニューを登録して、1品ごとの原価と利益を見える化してみましょう。
よくある質問
Q. 飲食店メニューの原価計算は何から始めればよいですか?
A. まずは主力メニューに使う食材をすべて書き出しましょう。次に、仕入れ価格、内容量、1食あたりの使用量を整理し、食材ごとの原価を計算します。
Q. メニューの原価率は何%が目安ですか?
A. 一般的には30%前後が目安とされることがあります。ただし、業態やメニュー構成によって適正な原価率は異なります。原価率だけでなく、粗利額と販売数も確認しましょう。
Q. 調味料も原価計算に入れるべきですか?
A. はい。調味料は1食あたりでは少額でも、販売数が多いメニューでは大きな差になります。正確に管理したい場合は、ソース、油、薬味、付け合わせも含めて計算しましょう。
まとめ
飲食店メニューの原価計算とは、1品ごとに使う食材の量と単価をもとに、メニュー原価を出すことです。メニュー原価を計算すると、原価率、粗利額、価格設定の妥当性が見えるようになります。
原価計算では、主材料だけでなく、調味料、付け合わせ、歩留まり、包材費、仕入れ価格の変動も考慮することが大切です。まずは主力メニューから原価計算を始め、自店の利益構造を見える化しましょう。
※この記事内の数値例は、原価計算の考え方を説明するためのサンプルです。実際の原価率や適正価格は、業態、仕入れ条件、地域、メニュー構成によって異なります。
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