飲食店の利益を大きく左右するのが、食材費です。売上が伸びていても、食材費が高すぎると手元に利益は残りません。反対に、食材費を下げることだけを優先すると、料理の品質やお客様の満足度が落ちる可能性があります。
大切なのは、食材費をなんとなく高い、安いで見るのではなく、原価率、粗利、FLコスト、メニューごとの採算まで含めて管理することです。食材費は、飲食店の利益を左右するもっとも基本的な管理項目です。

飲食店における食材費とは
飲食店における食材費とは、料理やドリンクを提供するために直接かかった食材や材料の仕入れコストのことです。肉、魚、野菜、米、麺、調味料、油、ドリンク原料など、メニューを作るために使う材料費が該当します。
会計上は売上原価や原材料費として扱われることもありますが、現場の管理では、このメニューを1食作るのにいくらかかっているか、売上に対して食材費が何%を占めているかを見ることが重要です。
- 料理に使う肉、魚、野菜、米、麺など
- ソース、出汁、油、調味料、香辛料など
- ドリンクの原料、酒類、シロップ、果物など
- 仕込みで使う材料や付け合わせ
食材費は料理を提供するために直接使った材料費です。利益管理では、食材費率、原価率、粗利、FLコストをセットで見ることが大切です。
食材費が利益に与える影響
食材費は、売上から差し引かれる大きなコストのひとつです。飲食店では、売上から食材費を引いた金額が粗利になります。この粗利の中から、人件費、家賃、水道光熱費、広告費、消耗品費などを支払い、最後に利益が残ります。
例えば、1000円のメニューを販売して食材費が300円なら、食材費率は30%で粗利は700円です。食材費が400円になると、食材費率は40%になり、粗利は600円に下がります。
たった100円の差に見えても、1日50食売れるメニューであれば1日5000円、月25営業日なら12万5000円の粗利差になります。食材費の管理は、小さな数字の積み重ねに見えて、月間利益に大きく影響します。
食材費率・原価率の計算方法
飲食店の食材費を管理するうえで、基本になるのが食材費率、つまり原価率です。原価率とは、売上に対して食材費がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。
食材費率 = 食材費 ÷ 売上高 × 100
例えば、売上が100万円で食材費が32万円なら、食材費率は32%です。この数字を見ることで、売上に対して食材費が適正かどうかを判断できます。

全体の食材費率だけでなく、メニューごとの原価率も確認しましょう。全体の原価率が適正に見えても、特定の人気メニューだけが高原価で利益を圧迫していることがあります。
メニュー原価率 = 1食あたりの食材原価 ÷ 販売価格 × 100
月単位で食材費を正確に見る場合は、仕入れ額だけで判断しないことが重要です。月初在庫、当月仕入、月末在庫を考慮して売上原価を計算します。
売上原価 = 月初在庫 + 当月仕入 − 月末在庫
飲食店の食材費の目安
飲食店の食材費率は、一般的には30%前後が目安として語られることが多いです。ただし、これはあくまで目安です。業態、価格帯、コンセプト、提供方法、立地、人件費のかけ方によって適正値は変わります。
| 業態 | 食材費率の考え方 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| カフェ | ドリンク比率が高いと抑えやすい | フードとドリンクを分けて確認する |
| 居酒屋 | 料理とドリンクの組み合わせで調整しやすい | 高原価メニューと低原価メニューのバランスを見る |
| レストラン | 食材の質を重視すると高くなりやすい | 客単価と粗利額で判断する |
| ラーメン店 | 麺、スープ、具材の積み上げが重要 | スープ廃棄やトッピング量を管理する |
食材費率を見るときは、低ければ低いほどよいと考えないことが大切です。高級食材を使う店では、食材費率が高くても客単価と粗利額が十分に確保できていれば問題ない場合があります。
同じ原価率でも、販売価格によって残る粗利は大きく変わります。食材費は原価率だけでなく粗利額で見ることが重要です。
食材費が高くなる原因
食材費が高くなる原因は、仕入れ価格の上昇だけではありません。現場の管理方法、レシピのばらつき、在庫の持ち方、メニュー構成など、複数の要素が重なって原価率が悪化します。
- 仕入れ単価が上がっている
- レシピや盛り付け量が統一されていない
- 廃棄ロスや仕込みすぎが多い
- メニュー数が多すぎる
- 昔の原価計算のまま放置している
特に、同じメニューを長く販売している店ほど、昔の原価計算のまま放置されがちです。仕入れ価格が変わったら、メニュー原価も更新する必要があります。

食材費を下げる具体策
食材費を下げるときは、いきなり食材の質を落とすのではなく、仕入れ、在庫、レシピ、メニュー、価格の順に見直すのが現実的です。お客様の満足度を維持しながら、無駄なコストを削ることを目指しましょう。
- 仕入れ先と仕入れ条件を見直す
- 高原価メニューを把握する
- レシピと使用量を数値化する
- フードロスを減らす
- メニュー構成を見直す
- 必要に応じて値上げを検討する
売れているメニューほど、原価率の改善効果は大きくなります。売上上位メニュー、原価率上位メニュー、廃棄が多いメニューを分けて見ると、改善すべき順番が見えます。
値上げを検討する際は、単に価格を上げるのではなく、商品の価値が伝わる見せ方を整えることが大切です。食材の産地、仕込みの手間、ボリューム、セット内容などを伝えることで、価格変更への納得感を高められます。
食材費管理を仕組み化する方法
食材費管理は、最初はExcelやスプレッドシートでも始められます。材料名、仕入れ単価、内容量、1gあたりの単価、レシピ使用量、販売価格を入力すれば、メニューごとの原価率を計算できます。
ただし、食材の価格は変動します。メニュー数が増え、スタッフが増え、販売数や在庫も管理するようになると、手入力だけでは更新漏れや計算ミスが起きやすくなります。
原価管理システムを使うと、食材の仕入れ単価、レシピ、メニュー原価、売上、在庫をまとめて管理しやすくなります。仕入れ価格が変わったときにメニュー原価へ反映できるため、古い単価のまま判断してしまうリスクを減らせます。
COST PANDAは、飲食店向けの原価管理システムです。材料マスタ、メニュー原価、年間損益、ダッシュボードを使い、食材費や原価率を見える化できます。
無料プランから始められるため、Excel管理から一歩進めたい店舗にも使いやすい設計です。
まとめ
飲食店の食材費は、料理やドリンクを提供するために直接かかる材料費です。売上に対する食材費の割合を原価率として把握することで、利益が残る経営ができているかを確認できます。
食材費を管理するときは、全体の原価率だけでなく、メニューごとの原価率、粗利額、在庫、廃棄ロス、歩留まり、FLコストまで見ることが大切です。まずは主要メニューの原価率を計算し、仕入れ単価と使用量を記録するところから始めましょう。
※この記事内の数値例は、原価計算の考え方を説明するためのサンプルです。実際の原価率や適正価格は、業態、仕入れ条件、地域、メニュー構成によって異なります。
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