飲食店で売上が伸びているのに利益が残らない場合、原因のひとつとして考えられるのが「原価管理の不足」です。原価管理とは、食材費や仕入れ単価、メニューごとの原価率、在庫、廃棄ロスなどを把握し、利益が残る状態に整えるための管理方法です。
ただし、原価管理は「とにかく安い食材に変えること」ではありません。食材の品質を落としすぎると、料理の満足度やリピート率が下がり、結果的に売上を落としてしまう可能性があります。

飲食店の原価管理とは
飲食店の原価管理とは、料理やドリンクを提供するためにかかる食材費、飲料費、調味料費などを把握し、売上に対して適正なコストに収まっているかを確認する管理方法です。
原価管理では、今月の食材費がいくらだったかを見るだけでは不十分です。メニューごとの原価、原価率、仕入れ単価、使用量、在庫、廃棄ロス、売上とのバランスまで確認する必要があります。
原価管理は、食材費を削る作業ではなく、利益が残るメニュー構成と運営状態をつくる作業です。
原価管理が必要な理由
飲食店で原価管理が必要な理由は、利益を安定させるためです。料理は売価が決まっていても、仕入れ価格や廃棄量、盛り付け量が変わると、実際に残る利益が変わります。
売上が増えていると、経営が順調に見えることがあります。しかし、原価率が高すぎるメニューばかり売れている場合、売上は伸びても利益は思ったほど残りません。
| 項目 | 売上重視の見方 | 原価管理を含めた見方 |
|---|---|---|
| 人気メニュー | たくさん売れているので良い | 原価率と粗利額も確認する |
| 仕入れ | 多めに発注する | 在庫、廃棄、回転日数まで見る |
| 値上げ判断 | 据え置きを優先する | 原価率と粗利額から判断する |
原価管理で見るべき数字
原価管理では、最低限確認したい数字があります。仕入れ単価、使用量、メニュー原価、原価率、粗利額、廃棄ロス、FL比率を分けて見ると、改善すべきポイントが見えやすくなります。
- 仕入れ単価の変化を確認する
- 1食あたりの使用量を確認する
- メニュー原価と原価率を見る
- 粗利額と販売数を合わせて見る
- 廃棄ロスやFL比率も確認する
原価率だけでなく、粗利額、廃棄ロス、FL比率まで見ると、改善すべきポイントが見えやすくなります。
原価管理の基本手順
飲食店の原価管理は、次の手順で進めると整理しやすくなります。最初から全メニューを完璧に管理しようとすると続きにくいため、まずは主力メニューや原価が気になるメニューから始めるのがおすすめです。
- 主力メニューを選ぶ
- 食材と使用量を洗い出す
- 仕入れ単価を登録する
- 1食あたりの原価を計算する
- 売価に対する原価率を確認する
- 仕入れ、ポーション、価格を見直す

メニュー別原価を計算する方法
原価管理の基本は、メニューごとの原価を計算することです。メニュー別原価がわからなければ、どの商品が利益を出していて、どの商品が利益を圧迫しているのか判断できません。
メニュー原価 = 食材ごとの使用量 × 食材ごとの単価 の合計
原価率 = メニュー原価 ÷ 販売価格 × 100
たとえば、800円の定食を販売していて、1食あたりの食材費が280円の場合、280円 ÷ 800円 × 100 で原価率は35%です。飲食店では30%前後が目安とされることがありますが、業態やメニュー構成によって適正値は変わります。
| 食材 | 使用量 | 単価の考え方 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 米 | 180g | 1gあたり単価で計算 | 45円 |
| 肉 | 120g | 仕入れ単価÷内容量 | 160円 |
| 野菜 | 80g | 可食部やロスも考慮 | 50円 |
| 調味料 | 少量 | 概算またはレシピ別に計算 | 25円 |
原価率を改善する方法
原価率を改善する方法は、食材を安くすることだけではありません。品質を保ちながら利益を残すためには、仕入れ単価、ポーション、売価、在庫、廃棄ロスをあわせて見直す必要があります。
- 仕入れ単価を定期的に見直す
- ポーションを標準化する
- 販売価格を必要に応じて見直す
- 在庫と廃棄ロスを記録する
- 共通食材を増やして回転を良くする
特に重要なのは、原価率だけで判断しないことです。原価率が低くても粗利額が少ないメニューは、利益貢献が小さい場合があります。一方で、原価率が高くても集客や客単価アップにつながる看板メニューもあります。

原価管理システムを使うメリット
原価管理は、スプレッドシートでも始められます。しかし、メニュー数が多い店舗や、仕入れ単価が頻繁に変わる店舗では、管理が複雑になりやすいです。数式ミス、入力漏れ、単価更新漏れが起きると、実際の利益と管理表の数字がずれます。
原価管理システムを使うと、材料マスタ、メニュー登録、仕入れ単価、原価率、月別損益、FL比率などを一元管理しやすくなります。手作業では追いにくい価格変更や月別推移も確認しやすくなります。
COST PANDAは、飲食店の原価管理をかんたんに始められる原価計算システムです。
材料マスタ、メニュー登録、原価率計算、年間損益管理、ダッシュボードでのグラフ確認など、飲食店に必要な原価管理をシンプルにまとめています。
まとめ
飲食店の原価管理方法は、食材費を安く抑えるだけではありません。メニューごとの原価、原価率、粗利額、仕入れ単価、在庫、廃棄ロス、FL比率を確認し、利益が残る状態に整えることが大切です。
まずは、主力メニューの原価計算から始めましょう。1食あたりの原価がわかれば、販売価格が適正か、原価率が高すぎないか、どのメニューを改善すべきか判断しやすくなります。
※この記事内の数値例は、原価計算の考え方を説明するためのサンプルです。実際の原価率や適正価格は、業態、仕入れ条件、地域、メニュー構成によって異なります。
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