飲食店を経営していると、「このメニューは本当に利益が出ているのか」「仕入れ値が上がったけれど価格を変えるべきか」「原価率は何%になっているのか」と迷う場面があります。
その判断に欠かせないのが、飲食店の原価計算です。原価計算とは、料理やドリンクを1品提供するために、食材、調味料、包装資材などがいくらかかっているかを数字で把握することです。
この記事では、飲食店の原価計算の基本、1食あたりの原価の出し方、原価率の計算方法、売上原価の考え方、メニュー価格を決める手順、原価管理を効率化する方法までわかりやすく解説します。

この記事でわかること
飲食店の原価計算とは
飲食店の原価計算とは、料理やドリンクを提供するためにかかった費用を計算し、メニューごとの利益を把握する作業です。
たとえば、800円で販売している定食に、米、肉、野菜、調味料などで合計280円の食材費がかかっている場合、このメニューの1食あたりの原価は280円です。この数字をもとに、原価率や粗利額を計算します。
1食あたりの原価 = 使用した食材ごとの原価の合計
粗利額 = 販売価格 − 1食あたりの原価
原価率 = 1食あたりの原価 ÷ 販売価格 × 100
飲食店の原価計算は、感覚ではなく数字でメニューの利益を判断するための土台です。
飲食店で計算すべき原価の種類
飲食店の原価と聞くと、食材費だけを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、正確に利益を把握するためには、どの費用を原価として見るのかを整理しておく必要があります。
- 肉、魚、野菜、米、麺などの主材料
- 油、砂糖、塩、しょうゆ、ソースなどの調味料
- ドリンク用の茶葉、豆、シロップ、アルコール類
- 付け合わせ、トッピング、薬味
- 容器、袋、割り箸、おしぼりなどの包装資材
テイクアウトやデリバリーを行う店舗では、容器、袋、割り箸、おしぼり、シールなども無視できないコストになります。1個あたりは小さな金額でも、販売数が増えるほど利益に影響します。
1食あたりの原価を計算する方法
まずは、メニュー1品に使う食材をすべて書き出します。主材料だけでなく、調味料、ソース、トッピング、付け合わせも含めるのがポイントです。
次に、仕入れ単価から1gあたり、1mlあたり、1個あたりの単価を出します。2kgで1600円の鶏肉なら、1600円 ÷ 2000g で1gあたり0.8円です。
1gあたりの単価 = 仕入れ価格 ÷ 内容量
食材ごとの単価がわかったら、実際に1食で使う量をかけます。唐揚げ定食の例では、鶏肉、米、キャベツ、調味料、味噌汁、漬物などを分けて計算します。
| 食材 | 仕入れ単価 | 使用量 | 原価 |
|---|---|---|---|
| 鶏肉 | 0.8円/g | 150g | 120円 |
| 米 | 0.35円/g | 180g | 63円 |
| キャベツ | 0.25円/g | 40g | 10円 |
| 調味料・油 | 概算 | 1食分 | 35円 |

原価率の計算方法
1食あたりの原価がわかったら、次に原価率を計算します。原価率とは、販売価格に対して原価がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。
原価率 = 原価 ÷ 販売価格 × 100
たとえば、原価273円の唐揚げ定食を900円で販売している場合、273円 ÷ 900円 × 100 で原価率は約30.3%です。
ここで大切なのは、原価率だけでなく粗利額も確認することです。原価率が低くても販売価格が低ければ、残る粗利額は小さくなります。
価格設定では、原価率だけでなく、粗利額、注文点数、客単価、リピート率まで合わせて考えることが重要です。
売上原価の計算方法
メニュー単位ではなく、月単位で店舗全体の原価を確認したい場合は、売上原価を計算します。前月から残っていた在庫に今月仕入れた食材を足し、月末に残っている在庫を引くと、今月実際に使った食材費がわかります。
売上原価 = 期首棚卸高 + 当月仕入高 − 期末棚卸高
たとえば、期首棚卸高が12万円、当月仕入高が58万円、期末棚卸高が10万円なら、売上原価は60万円です。売上が200万円なら、店舗全体の原価率は30%になります。
| 項目 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 期首棚卸高 | 120000円 | 月初に残っていた在庫 |
| 当月仕入高 | 580000円 | 今月仕入れた食材 |
| 期末棚卸高 | 100000円 | 月末に残った在庫 |
| 売上原価 | 600000円 | 今月実際に使った食材費 |
メニュー価格を決めるときの考え方
原価計算は、メニュー価格を決めるときにも役立ちます。単に周辺店舗の価格に合わせるのではなく、自店の原価、粗利、客単価、提供価値を踏まえて価格を設計することが大切です。
目標原価率を決めておくと、原価から販売価格を逆算できます。原価300円で原価率30%を目指すなら、300円 ÷ 0.3 で販売価格は1000円がひとつの目安です。
販売価格 = 原価 ÷ 目標原価率
ただし、原価率だけで価格を決めるのは危険です。看板メニューや集客メニューは、あえて原価率を高めに設定することもあります。その代わり、ドリンク、サイドメニュー、デザート、トッピングなどで粗利を補う設計が必要です。
原価計算でよくある失敗
原価計算は、計算式そのものは難しくありません。しかし、実際の店舗運営では、いくつかの落とし穴があります。特に手作業では、仕入れ価格の変動や盛り付け量の違いが反映されず、数字が古くなりやすい点に注意が必要です。
- 調味料や油を計算に入れていない
- 歩留まりを考慮していない
- 仕入れ価格の変動を反映していない
- スタッフによって盛り付け量が変わる
- 容器代や包装資材を見落としている
たとえば、1kg仕入れた食材でも、可食部が800gしかなければ、実際の1g単価は仕入れ価格を800gで割って考える必要があります。
原価計算を効率化する方法
原価計算を毎回手作業で行うのは大変です。メニュー数が多い店舗、仕入れ価格が頻繁に変わる店舗、複数人で管理している店舗では、計算ミスや更新漏れが起きやすくなります。
スプレッドシートでも管理はできますが、過去の単価を上書きしてしまうと、いつから原価が変わったのかを追いにくくなります。単価の変更日を残せる仕組みにすると、価格改定や利益分析の判断がしやすくなります。
- 材料名、仕入れ単価、内容量を登録できる
- メニューごとに使用量を登録できる
- 1食あたりの原価を自動計算できる
- 販売価格を入れると原価率を確認できる
- 利益が出ていないメニューを見つけやすい
COST PANDAなら、材料マスタ、メニュー登録、原価率、月別原価、年間損益、FL比率をまとめて管理できます。
無料プランから始められるので、まずは主力メニューだけ登録して、原価率を見える化してみてください。
よくある質問
Q. 飲食店の原価計算は何から始めればよいですか?
A. まずは主力メニューを1つ選び、使用している食材、仕入れ単価、使用量を一覧にするところから始めましょう。全メニューを一気に計算しようとすると大変なので、売上が大きいメニューから優先するのがおすすめです。
Q. 原価と原価率の違いは何ですか?
A. 原価は、料理やドリンクを1品作るためにかかった金額です。原価率は、その原価が販売価格に対して何%を占めるかを示す割合です。
Q. 調味料は原価に含めるべきですか?
A. できるだけ含めるべきです。調味料や油は1食あたりの金額が小さく見えますが、販売数が多い店舗では利益に大きく影響します。最初は概算でもよいので、原価に入れて管理しましょう。
まとめ
飲食店の原価計算は、メニューごとの利益を把握し、価格設定や経営改善を行うために欠かせない作業です。基本は、食材ごとの単価を出し、1食あたりの使用量をかけ、合計原価を計算することです。
そのうえで、販売価格と比較して原価率や粗利額を確認します。月単位では売上原価を計算することで、店舗全体の食材費や原価率を把握できます。まずは自店の数字を見える化することから始めましょう。
※この記事内の数値例は、原価計算の考え方を説明するためのサンプルです。実際の原価率や適正価格は、業態、仕入れ条件、地域、メニュー構成によって異なります。
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